• Yanagisawa Shizuma

Eucorydia tokaraensisとEucorydia donanensisの記載

最終更新: 3月26日

 11月24日(日本時間11月25日)に日本動物学会発行のZOOLOGICAL SIENCEにて私たちの研究チームの論文”Two New Species of the Genus Eucorydia (Blattodea: Corydiidae) from the Nansei Islands in Southwest Japan”が公開されました。


 内容としては以下になります(プレスリリースと内容はほぼ同じ)。



35年ぶりに日本からゴキブリの新種を発見

~南西諸島からみつかったゴキブリ類(昆虫綱)2種を新種として発表

35年ぶりに日本からのゴキブリの新種・ブルーメタリックに黄色い帯の美麗種

森林で分解者として有益なゴキブリの日本での多様性解明に一歩近づく~


 竜洋昆虫自然観察公園柳澤静磨職員、鹿児島大学坂巻祥孝准教授、法政大学島野智之教授からなる研究チームの研究で南西諸島(鹿児島県〜沖縄県)から新たに2種のルリゴキブリ属のゴキブリを発見、ブルーメタリックに黄色い帯の美麗種2種を新種として記載しました。ルリゴキブリ属のゴキブリは日本ではこれまでに石垣島、西表島に生息するルリゴキブリEucorydia yasumatsui 1種のみが知られていました。

 ゴキブリは害虫として知られています。現在、日本産ゴキブリは57種が記載されており、今回2種を新種として記載したため、合計59種となりました。このうち、人家の中に出現するのは、1割程度であり、それ以外のゴキブリは、森の朽ち木や洞窟などに生息し、落ち葉などの有機物を食べて生活しており、人間とはほとんど関わりのない暮らしをしています。

 「黒い」「汚い」イメージのゴキブリですが、日本(南西諸島)から東南アジアにかけて分布するルリゴキブリ属のゴキブリは、非常に美しい青色の金属光沢や、鮮やかな橙色の紋などを持ついわゆる美麗種です。人家に出入りすることはありません。通常、森林内の朽ち木内などで、腐植質などを餌に生活をしています。



左:アカボシルリゴキブリEucorydia tokaraensis  

右:ウスオビルリゴキブリEucorydia donanensis


 今回記載されたうちの1種、アカボシルリゴキブリEucorydia tokaraensis(ユーコリディア・トカラエンシス)は宇治群島家島、吐噶喇列島悪石島、奄美群島奄美大島、徳之島に分布しており、オスの全長が12.0~13.0 mm、上翅に黄赤色の3つの紋を持つことが特徴です。もう1種のウスオビルリゴキブリEucorydia donanensis(ユーコリディア・ドナンエンシス)は八重山列島与那国島にのみ生息し、オスの全長が12.5~14.5 mm、腹部は紫色で、上翅に不明瞭な黄赤色の帯状紋を持つことが特徴です。

 今回の研究では日本産と台湾産のルリゴキブリ属の系統関係を解明するためにDNA解析を6遺伝子座を用いて行いました。その結果は,台湾産1種と日本産のルリゴキブリ3種に明瞭に分かれ、我々の形態による分類の結果を支持しました。


という感じです。


 ここからは研究チームではなく僕個人の感想や想いになるのですが、記念につらつらと書き記しておきたいと思います。


 今回の論文は僕にとって初めての記載論文で、島野先生に記載してみないかとお声かけいただいてから2年以上かかり、ようやく出版という運びになりました。英語もできず、論文の書き方も知らず、またゴキブリについても好きなだけでそこまで詳しいわけではなかったため、2年間ひたすら先生方にアドバイス、ご指導いただきました。昆虫館での仕事が終わって家に帰り論文、何度も何度も標本を計測・観察、という日々で辛かった日も多かったですが(といっても、僕の駄文を修正する先生方のほうが何倍も辛かったと思いますが…すみません!)、この論文が終わってからすぐに次の論文に手を付け始め、そこで「意外とこういうの好きかもしれない」と思い始めました。分類学の世界には未だつま先の先っちょくらいしか入り込めていませんが、今後もご指導いただきつつ、足一本くらいはねじ込んでいきたいと考えています。

 指導してくださった共著者の皆様には非常に感謝しております。重ね重ねお礼申し上げます。


 今回の記載はあの『日本産ゴキブリ類』を執筆された朝比奈正二郎先生の1985年に行った記載から35年ぶりの日本産ゴキブリの記載となります。まさに朝比奈先生の跡を継ぐような形となり、大変光栄で身に余る思いです。

 さらに、ルリゴキブリ属という日本産ゴキブリ類の中では非常に派手な、花形とも言える種の記載を行えたという点においても、夢ではないかと疑うほど嬉しく思います。目立ちたがり屋なので笑


 冗談はさておき、今回先生方からいただいた貴重な機会を無駄にすることなく、今後もゴキブリの分類についてできる限り貢献していけたらと考えています。

 また、ゴキブリという生き物の面白さを伝えられるように、より一層、展示や活動にも力を入れていく所存です。

 皆様におかれましても、虫の歩みではありますが、暖かく見守っていただけましたら幸いです。


 今後ともどうぞよろしくお願い致します。


発表雑誌:ZOOLOGICAL SCIENCE

論文タイトル:Two New Species of the Genus Eucorydia (Blattodea: Corydiidae) from the Nansei Islands in Southwest Japan,(南西諸島からのルリゴキブリ属のゴキブリ新種2種)

■著者: Shizuma Yanagisawa, Shimpei F. Hiruta, Yositaka Sakamaki, Jhih-Rong Liao, and Satoshi Shimano(竜洋昆虫自然観察公園柳澤静磨職員、国立科学博物館蛭田眞平博士、台湾大学Jhih-Rong Liao教授、鹿児島大学坂巻祥孝准教授、法政大学島野智之教授)

■ 2020年11月 24日 オンライン公開

410回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示