Yanagisawa Shizuma
ゴキブリの飼育~脱走防止~
更新日:2021年3月26日
ゴキブリは飼育に向いている昆虫です。比較的なんでも食べ、エサの用意が簡単。殖やすことも可能。不完全変態の昆虫なので、幼虫時も成虫と同様の環境で飼える。多数の個体を一緒に飼育できるなど、種類によって難易度、クセの違いはありますが、飼育するにあたって都合のいい点が多くあります。また、前述したように非常に種類が多い為、自分好みの見た目や生態の種を選んで飼育したり、コレクション性も高いので集めてみたりと様々な楽しみ方があります。
当HPのホームではこのようにゴキブリの飼育についての利点に触れています。しかし、飼育をするにあたってはいくつもの注意点があります。その中で最も気を付けなければいけないのが「脱走」です。
2020 年に、千葉県にて南米原産のアルゼンチンゴキブリBlapica dubia を野外で確認したという論文が発表されました。この論文によると、アルゼンチンゴキブリは2 年に渡り同一箇所で確認されており、日本において年間を通じて生存できることが示唆されています。確認地点への正確な侵入経路は明らかではありませんが、飼育個体の放棄または脱走によるものの可能性があるとされています。

アルゼンチンゴキブリ♂

アルゼンチンゴキブリ♀
アルゼンチンゴキブリは爬虫類のエサとして非常に多くの方が飼育をしており、ホームセンターなどで購入することもできます。エサとして利用するとしても、しっかりとした管理を行うのが飼育者の責任です。また、思わぬ事故などで野外に脱走する危険もあるため、耐震対策、飼育作業時の確認なども十分に行う必要があるでしょう。他の生き物にも言えますが、飼育をしていると「まさか」ということが起こります。正直、僕も今までヒヤッとしたことが何度かあります。まさかの事態に備えて、普段から注意を払って飼育を行っていただくよう、みなさんにお願いしたく思います。
当HPの飼育方法のページにも脱走防止のページがありますので、ぜひ参考にしていただけましたら幸いです。
参考:Kato T・Yamasako J, 2020. First field record of an introduced pet-feeder cockroach, Blaptica dubia (Serville, 1838) (Blattidae, Blaberinae), in a temperate zone of Japan. Entomological Science, EarlyView.