Yanagisawa Shizuma
ゴキブリの漢方:䗪虫
更新日:2021年3月26日
ゴキブリは漢方として利用されることもあります。「䗪虫(しゃちゅう)」と呼ばれる漢方で、利用されるのはシナゴキブリ(土龞虫)サツマゴキブリ(東方后片蠊)、プランキーサバクゴキブリ(冀地龞)の三種類です。どの種類も、メス個体のみを使用します。駆於血や血行促進の効果があるとされており、他の漢方と混ぜ合わせて処方するのが一般的なようです。
以前、この䗪虫を求めて横浜の中華街にある漢方屋さんを巡ったことがあります。しかし、なかなか見つからず、最後の一軒にも在庫はありませんでした。なにか情報だけでも得られないかなぁと店員さんに「ゴキブリの漢方ありますか?」と聞いたところ、「ゴキブリは漢方に使わないよ」と言われてしまいました。そんなことはないだろうと思い、「漢方の名前は䗪虫というらしいんですが」と伝えると、「え、あれゴキブリなの?」と返事が返ってきました。どうやら、何かの虫だとは知っていたものの、ゴキブリだとは思っていなかったようです。そのあと、漢方の取り寄せリストを見せていただき、粉状になったものなら100g で4000 円とのことでした。悩みましたが、粉末ではなくゴキブリそのままのものが欲しいということもあり、その時は断念しました。
少ししてから、アース製薬の方にネットで買えるところがあると教えていただきました。早速そのサイトに行ってみると、探し求めていた「ゴキブリそのまま」の䗪虫が販売されていました。

早速購入(今回は100グラムで5700円ほどでした)し、観察してみると、確かにメスばかりが使われています。においは、かなりキツイ……本当なら他の漢方と合わせて飲んでみたかったのですが、残念ながら僕はゴキブリアレルギーのため、飲むのは命がけになってしまうので諦めました。

ゴキブリはゴキブリ単体でも面白い生きものですが、その周りの生態系、人間とのかかわりに注目するとまた違った面白さがあります。今後もゴキブリについて多方面からその魅力を感じ、ご紹介していきたいと思います。
参考:難波恒雄 , 1980. 原色和漢薬図鑑(下). 保育社 , 大阪 .