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  • 執筆者の写真Yanagisawa Shizuma

ゴキブリの名前-生物學語彙の誤植-

 先日、探し求めていた書籍『生物學語彙』をついに手に入れました。

 本書はゴキブリといういきものを語る上で非常に重要な書籍です。

 ゴキブリはこの書籍が発行される前、「ゴキカブリ」と呼称されていました。本書は日本で初めての生物學用語集で、さまざまな生物用語に対する翻訳が掲載されています。ゴキカブリについても以下のように掲載されています。

 この後Cockroachの項目でゴキカブリが出てくるはずなのですが、その時は以下のように記載されています。

 2回目の登場、Cockroachでは、ゴキカブリの「カ」の字が抜けており、「ゴキブリ」となっています。当時は活版印刷で、印刷する文字を一つずつ組む「植字」という工程があるのですが、この時に「カ」を入れ忘れてしまったらしいです。そしてこの後出版された本ではこちらのゴキブリが使われてしまい、定着したとされています。


 そんなわけで、『生物學語彙』はゴキブリの名前の由来を探る上で重要な書籍なのです。2年ほどかけて何十店舗という古書店を探しましたが、まったく見つけることができずにいました。しかし今回、多くの方に情報提供いただき、ようやく見つけることができました。ありがとうございます。

 そもそもこの書籍が1884年、現在からすると137年前の書籍な上、初版しか刷られていないらしく、現存する本がどれだけあるのかといった状態です。そのためいくら探しても見つからなかったのですが、ようやく現物を拝むことができました。今後は展示などでご紹介していきたいと思います。


 余談ですが、当時この本は90銭だったようです。今のお金に換算すると18000円くらいだとか。かなりお値段のする本だったようです。

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